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東京高等裁判所 昭和53年(ネ)2214号 判決

控訴人兼附帯被控訴人(以下単に「控訴人」という。)

織林きよの

控訴人

織林藤之助

右両名訴訟代理人

坂根徳博

被控訴人附帯控訴人(以下単に「被控訴人」という。)

エコー家具工業株式会社

右代表者

児玉英男

被控訴人

日新火災海上保険株式会社

右代表者

楫西誠治

右両名訴訟代理人

小河原泉

主文

原判決を次のとおり変更する。

被控訴人エコー家具工業株式会社は、控訴人ら各自に対し、各四八二万円及びこれに対する昭和五一年六月一日から右完済まで年五分の割合による金員を支払え。

被控訴人日新火災海上保険株式会社は、控訴人らの被控訴人エコー家具工業株式会社に対する本判決が確定したときは、控訴人ら各自に対し、各四八二万円及びこれに対する右確定の日の翌日から右完済まで年五分の割合による金員を支払え。

控訴人らの被控訴人日新火災海上保険株式会社に対するその余の請求を棄却する。

被控訴人エコー家具工業株式会社の附帯控訴を棄却する。

訴訟費用は、被控訴人エコー家具工業株式会社の附帯控訴に関する部分につき同被控訴人の負担とし、その余の部分につき第一、二審を通じてこれを二分し、その一を控訴人らの、他の一を被控訴人らの各負担とする。

この判決は、第二項に限り、仮に執行することができる。

事実

第一  当事者の求めた裁判

(控訴)

一  控訴人ら

1 原判決を次のとおり変更する。

2 被控訴人らは、各自控訴人らそれぞれに対し、四八二万円及びこれに対する昭和五一年六月一日から右完済まで年五分の割合による金員を支払え。

3 仮執行宣言

二  被控訴人ら

控訴人らの控訴をいずれも棄却する。

(附帯控訴)

一  被控訴人ら

1 原判決中被控訴人ら敗訴の部分を取り消す。

2 控訴人らの請求をいずれも棄却する。

3 訴訟費用は、第一、二審とも控訴人らの負担とする。

二  控訴人ら

被控訴人らの附帯控訴をいずれも棄却する。

第二  当事者の主張

一  請求原因

1  交通事故の発生

昭和五一年五月三一日午後七時二〇分頃、埼玉県春日部市大字粕壁五七八八番地先道路で、訴外中里芳雄運転の乗用自動車(登録番号埼五六さ九〇七二)が織林トキ子に衝突して負傷させ、同女は右負傷のため翌月二日死亡した。

2  被控訴人らの責任

(一) 被控訴人エコー家具工業株式会社(以下「被控訴人エコー」という。)は、1の加害自動車を所有し、自己のため運行の用に供していたので、自動車損害賠償保障法三条の規定により後記損害を賠償すべき義務がある。

(二) 被控訴人日新火災海上保険株式会社(以下「被控訴人保険会社」という。)は、被控訴人エコーとの間に、右加害自動車につき、同被控訴人を被保険者とし、本件交通事故発生日を保険期間内とする保険金三〇〇〇万円の自家用自動車保険契約を締結した保険者であるから、以下のとおり、控訴人らの直接の、又は債権者代位による、後記損害と同額の保険金請求に対し、これを支払う義務がある。

(直接請求)

本件保険契約が、いわゆる責任保険であることの特質等からすれば、本件事故による損害賠償金債務の履行期が到来すれば、当然に保険金債務の履行期が到来し、損害賠償金債務が履行遅滞になれば、当然に保険金債務も履行遅滞になるべきものであり、そして、損害賠償金債務が履行されない限り、被害者である控訴人らが直接被控訴人保険会社に対し、保険金債務の履行を請求できるとしなければならない。

また、本件保険契約の内容をなす自家用自動車保険普通保険約款(以下「昭和五一年約款」という。)第一章第一条、第六条第一項によれば、同条第二項とは無関係に、損害賠償請求権者である控訴人らにおいて、被控訴人保険会社に対し直接保険金の支払いを請求できるものである。

(代位請求)

控訴人らは、被控訴人エコーに対し、後記損害四八二万円の賠償請求権を有するから、右債権を弁済するに十分な資力のない被控訴人エコーが、本件保険契約に基づいて被控訴人保険会社に対して有する保険金請求権を、被控訴人エコーに代位して行使する。

この場合、かりに被保険者である被控訴人エコーが損害賠償請求権者である控訴人らに対して負担する法律上の損害賠償責任の額が判決により確定したときに初めて、保険者である被控訴人保険会社は被控訴人エコーに対して保険金を支払うべきものであるとしても、被控訴人エコーに対する損害賠償請求の訴に、被控訴人保険会社に対する保険金請求の訴が併合されている本件のような場合には、右賠償額確定の要件を緩和して、保険金請求訴訟を適法として許すべきである。

3  損害

(一) トキ子の損害(一万円未満切捨て)

(1) 治療費 二九万円

(2) 逸失利益 一五三二万円

(イ) 算定基礎

トキ子は、昭和二六年二月七日生まれの女性で、死亡時から四二年は就労可能であつた。収入は、収入期間を平均し、賃金センサスにおける企業規模計、産業計女子労働者、中学卒により、かつ全年令層平均の収入を下らないものとし、生活費は収入の五割、現価はホフマン式によるべきものとする。その算式は後記のとおりである。

なお、中間利息控除による現価換算をホフマン式によつたのは、ライプニツツ式と比べてより合理的であるからである。即ち、(1)ライプニツツ式は、金銭の利用を預金で考え、預金は複利が一般的であることを基礎とするが、金銭の利用分は購買力の増殖で考えるべきで、現在に接着する戦後三〇年の恒常的な物価上昇のもとでは、利率が物価上昇率より高かつた僅かの年でも、その差は年率二パーセントを超えることはなかつたから、今後も年率五パーセントの高率を維持しながら複利で増殖できるようなことはあり得ない。それ故中間利息としては、法定利息単利年五パーセントの割合で控除すれば十分であり、控除超過となつても控除不足ということはない。(2)遅延利息は、民法が、単利による年五パーセントと明定している。中間利息も金銭の利用分として先取りと後取りの違いはあつても同性質のものであるから、裁判の論理性と法的安定性の観点からして、両者を同様に扱うべきである。(3)ホフマン式は、長期にわたる逸失利益の算出の場合、換算現価が永久に残るに至るとの批判があるが、それは換算現価自体が毎年取り崩されてゆくことを顧慮しない誤解である。

(ロ) 算式

昭和五一年六月から同五二年五月まで

(8万2600円×12+20万0900円)×0.5×0.9523=56万7618円

昭和五二年六月から同五三年五月まで

(9万0100円×12+22万8300円)×0.5×(1.8614−0.9523)=59万5233円

昭和五三年六月から同九三年五月まで

(9万6100円×12+24万4200円)×0.5×(22.2930−1.8614)=1427万5558円

以上合計一五四三万八四〇九円を一五三二万円に限局

(3) 慰藉料 四〇〇万円

以上トキ子の損害合計一九六一万円を、控訴人らはトキ子の父母で、相続により各自二分の一ずつ取得した。

(二) 控訴人らの損害

(1) 慰藉料 各二〇〇万円

(2) 葬儀費 各二五万円

(3) 弁護士費用 各四三万円

(三) 損害の填補

控訴人らは、各自に属する損害賠償金の弁済として、それぞれ七六六万円を上回らない金額を受領した。

(四) 従つて、損害の残額は、控訴人ら各自につき四八二万円である。

4  結論

よつて、控訴人らは、それぞれ、被控訴人エコーに対し不法行為に基づく損害賠償金四八二万円とこれに対する不法行為の日の後である昭和五一年六月一日から右完済まで民法所定年五分の割合による遅延損害金、被控訴人保険会社に対し前記の根拠に基づき右損害賠償金及び遅延損害金と同額の保険金の支払いを求める。

二  請求原因に対する認否

請求原因1の事実、並びに2の事実中被控訴人エコーが本件加害自動車を所者し、自己のため運行の用に供していたこと、及び被控訴人保険会社が、被控訴人エコーとの間に控訴人ら主張の昭和五一年約款に基づく保険契約を締結したことを認め、その余を争う。同3の事実は知らない。ただし、控訴人らが、合計で一五三二万円を上まわらない弁済を受けたことは認める。

三  抗弁(過失相殺)

トキ子にも、交通量の多い道路を本件加害者自動車の接近に注意を払わないで横断した過失がある。

四  抗弁に対する認否

トキ子が横断中であつた点は認め、その余の事実は否認する。

五  附帯控訴の理由

1  トキ子は、歩行者として、車道片側幅員7.5メートル、分離帯幅員三メートルの交通量が多い国道で、しかも交通整理の行われていない交差点を横断するにあたつては、右左の車両に対する安全について十分注意を尽くして渡るべきであるのに、これを怠つた過失があり、本件交通事故の一因をなしているところ、他方本件加害自動車の当時の時速は、六〇キロメートル位であつたとするのが相当であるから、彼此勘案すれば、トキ子の過失割合は二割を下らないものとして、その損害賠償額を二割減額すべきである。

2  控訴人らの被控訴人保険会社に対する直接請求は、昭和五一年約款第一章第六条第一項に基づくものであつて、被控訴人エコーが被控訴人保険会社に対して有する保険金請求権を代位行使するのではなく、被控訴人保険会社が履行引受をしたことに対する損害賠償額の支払請求であるところ、同条第二項により、被控訴人保険会社の支払いは、(1)控訴人らが、被控訴人エコーに対する損害賠償請求権を行使しないことを被控訴人保険会社に対して書面で承諾したとき、(2)被控訴人エコー及び訴外中里について、これらの者またはその相続人の破産または生死不明か、これらの者が死亡し、かつその相続人がいないことがあつたときという条件にかかつているから、無条件の支払いを命ずる原審判断は誤まりというべく、またその支払履行期は、控訴人らと被控訴人エコーとの間で、損害賠償額について、判決が確定したとき、または裁判上の和解もしくは調停が成立したときであるから、原審判断は少なくともその限度で変更されるべきである。

第三  証拠〈省略〉

理由

一本件交通事故の発生とトキ子の過失についての当裁判所の事実認定及び法律判断は、原審のそれと同一であるから、原判決七枚目裏一行目から同八枚目裏末行までをここに引用する。

二トキ子の損害、(逸失利益を除く。)と控訴人らによる承継、控訴人らの損害、損害の填補についての当裁判所の事実認定及び法律判断は、原審のそれと同一であるから、〈中略〉をここに引用し、トキ子の逸失利益については、次のとおり認定判断する。

三トキ子の逸失利益 一二一七万円

(一)  算定基礎

〈証拠〉によれば、トキ子は、昭和二六年二月七日に生まれた女子で、同四二年三月三一日中学校を卒業し、単純軽作業的な職種を選んで自宅から働きに出ていたが、同四六年一〇月からは、雇主であつた訴外阿部八重治の許に身を寄せて生活するようになり、本件交通事故当時は訴外丸和油脂株式会社にパートタイムの包装工として雇われ、事故前三か月の平均月額六万六三九七円の給与を受けていたこと、中学生時代は特殊学級に在席したが、就職後の勤務は真面目で、並の作業能力を示していたこと、収入はほとんど自分で費消し、控訴人らへ送金することはなかつたこと、未婚ではあつたが結婚話しもあり、やがて結婚する意思と機会とを待つていたことが認められ、これに反する証拠はない。右に認定した事実に照らすと、トキ子の逸失利益を算定するにあたつては、本件口頭弁論終結時に接着して公刊された昭和五三年賃金構造基本統計調査結果速報(全産業)主要統計表附属統計表第一表中の産業計中卒女子労働者の平均給与を基礎とし、労働可能年数は四二年、生活費は収入の五割とし、その現価はライプニッツ方式(年別)によつて換算することが相当であり、その算式は後記のとおりである。

ところで、控訴人らは、中間利息控除による現価換算について、ホフマン方式を採用すべきであるとし、ライプニツツ方式の非合理性を論難する。しかし、金銭の運用について預金を通常の代表的な事例とし、複利を以て当今の預金金利の常態とすることは、争いえない帰趨であり、他面、物価上昇が、今後四〇年にもわたつて、戦後の特異事情も含む過去三〇年間におけると同様の傾向で続くという予測はにはわかに立ち難いものであるといわなければならない。民法は、遅延利息について年利率五パーセントと明定しているけれども、これを、本件の如き現価換算のための中間利息控除の場合に、その利率についてのみならず、単利によるべきであるとする論拠にまでひくのは相当でない。

それゆえ、ホフマン方式への批判が誤解であるかどうかはともかくとして、ライプニツツ方式を採用したからといつて、裁判の論理性と法的安定性を損ねるといつた論旨にはたやすくくみし得ない。そして、長期にわたる逸失利益の現価換算にあたつては、当然のことながら不確定要素が余りに多く、所詮は証拠によつて確定しうる算定基礎となるべき事実をふまえ、右不確定要素をにらみながら、総合勘案して判断するのほかはなく、中間利息控除の方式も、このような諸事情、諸要素との相関のなかで選択されるべきものである。本件の場合、前記算定基礎となるべき事実その他諸般の事情をすべて考えあわせるときは、中間利息控除の方式としてライプニツツ方式(年別)を採用することには十分の合理性があるものというべきである。

(二)  算式

(9万6100円×12+24万4200円)×(1−0.5)×17.4232=1217万3589円

四被控訴人保険会社に対する請求について

1  被控訴人保険会社が、保険者として、被控訴人エコーとの間に、本件加害自動車につき、同被控訴人を被保険者とし、本件交通事故発生日を保険期間内とする保険金三〇〇〇万円の昭和五一年約款に基づく自家用自動車保険契約を締結したことは、当事者間に争いがない。

2 控訴人らは、被控訴人保険会社に対し、本件保険金の直接請求ができる旨主張するが、未だその論拠は見出し難い。即ち、本件保険契約は、いわゆる任意保険としての責任保険であつて、私人間の契約に外ならないところ、被害者にまで保険金請求権を直接認める趣旨は、契約当事者の意思に包含されているとはいえず、また包含されているとみるべきであるとすることはできない。昭和五一年約款にも、その旨の規定はなく、同約款第一章第六条第一項は、損害賠償額の支払いの直接請求を認めたもので、その法的性質は、保険者が、被保険者即ち加害者に対し、同人が被害者に支払うべき損害賠償金債務の引受けを約したものと解すべきであり、このことは却って、保険金の直接請求を否定したことを含意するといえる。被害者にも保険金の直接請求を認めた商法六六七条は、賃借人その他他人の物の保管者が、その支払うことあるべき損害賠償のため、その物を火災保険に付した場合、その物の所有者について認めた規定であつて、本件の如き自動車保険の被害者にまで妥当する一般通則とはなり得ないと解すべきである。また、この種保険金の支払いをめぐる現実の過程において、被害者と保険会社とが、被保険者をこえて直接折衝することが、今や一般的な態様であるとしても、そのことを以て、被害者の保険金直接請求権を認めるべき裏づけとすることも、もとよりできない。

その他控訴人らの主張を首肯しうる論拠を発見しえないので、結局、控訴人らの前記保険金直接請求の主張は、採るを得ない。

3 次に、控訴人らは、被控訴人保険会社に対し、被保険者である被控訴人エコーに対する本件損害賠償債権を保全するため、同被控訴人に代位して、本件保険金の請求をする旨主張する。しかし、交通事故による損害賠償債権も金銭債権にほかならないから、債権者代位権を行使するためには、債務者の資力が債権を弁済するについて十分でないことを要すると解すべきところ(最高裁昭和四七年(オ)第一二七九号、同四九年一一月二九日第三小法廷判決参照)、本件についてこれをみれば、控訴人らの被控訴人エコーに対する損害賠償債権は、前認定によつて明らかなように、各自四八二万円であつて、遅延損害金を含めても計約一一〇〇万円であるのに対し、〈証拠〉によれば、被控訴人エコーは、山形県酒田市に本店を有し、資本金六九五〇万円、従業員一三〇人を擁する木工関係の会社であつて、年間売上は一四ないし一五億円で、収支のバランスもとれており、経営も順調であることが認められ、これに反する証拠はないから、同被控訴人の資力が前記損害賠償金を弁済するに十分でないとはいえない。

してみると、爾余の点を判断するまでもなく、控訴人らの保険金代位請求もまた理由がない。

4 しかし、控訴人らは、被控訴人保険会社に対する本訴請求の根拠の一つとして、昭和五一年約款第一章第六条第一項を主張するところ、右条項に基づく金員の支払いは、保険者の債務引受による損害賠償金の支払いであつて、保険金の支払でないことは前記のとおりであるが、控訴人らの右請求は、保険金としての金員でなければ請求しない趣旨とまでは解されず、損害賠償金の支払いを請求するものとみることもできる。

そうとすれば、右請求を認めるに障碍はない。蓋し、これまでに検討してきたところによつて、被保険者である被控訴人エコーが、控訴人らに対して前記のとおりの損害賠償責任を負担すること、保険者である被控訴人保険会社が、本件保険契約により被控訴人エコーに対して同被控訴人が右損害賠償責任を負担することによつて被る損害の填補責任を負うこと、及び右損害賠償額が保険金額の範囲内であることが明らかであるからである。ただ、昭和五一年約款第一章第六条第二項第一号によれば、被控訴人保険会社にとつてのその履行期は、控訴人らと被控訴人エコーとの間で、本件損害賠償債権についての判決が確定したときと解すべきであるから、右請求は、将来の給付を求める訴として、あらかじめこれを請求する必要がなければならない。しかし、被控訴人保険会社に対する右損害賠償請求権が、被控訴人エコーに対する本判決確定と同時に履行期が到来することは右にみたとおりであるところ、被控訴人らにおいて、いずれもそれぞれの損害賠償義務を争つているから、右請求はあらかじめする必要がある場合にあたると解して妨げない。なお、被控訴人ら主張の昭和五一年約款第一章第六条第二項所定の他の二条件なるものは、右判決の確定があるときは、不要であることが同項の文言上明白であるといわなければならない。

よつて、被控訴人保険会社は、控訴人らの被控訴人エコーに対する本判決が確定したときは、控訴人ら各自に対し、各四八二万円及びこれに対する右確定の日の翌日から右完済まで民法所定年五分の割合による遅延損害金を支払う義務がある。

五結論

叙上の次第であるから、控訴人らの本訴請求は、被控訴人エコーに対し、各自四八二万円及びこれに対する本件不法行為の日の後である昭和五一年六月一日から右完済まで民法所定年五分の割合による遅延損害金を求めるにつき理由があり、また、被控訴人保険会社に対し、被控訴人エコーに対する本判決が確定したときは、各自四八二万円及び右確定の日の翌日から右完済まで民法所定年五分の割合による遅延損害金を求める限度で理由があるから、それぞれこれを認容し、被控訴人保険会社に対するその余の請求は失当として棄却すべく、右と結論を異にする原判決は、本件控訴及び被控訴人保険会社の附帯控訴に基づいてこれを変更することとし、被控訴人エコーの附帯控訴を失当として棄却し、訴訟費用(控訴費用及び附帯控訴費用を含む。)の負担につき民事訴訟法第九六条、第九五条、第九三条、第九二条を、仮執行の宣言につき同法第一九六条を各適用して、主文のとおり判決する。

(林信一 高野耕一 石井健吾)

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